今回のポイントは、LanzaTech社が持つ微生物と、それを触媒に利用するための技術である。この微生物は、原生微生物の10倍以上の反応速度を持ち、工業レベルに十分な生産速度を発現できるのが特徴とする。

 一方、ごみから得られたガスには多くの不要物が含まれており、そのままでは微生物触媒を用いることができなかった。そこで「ガス精製技術」として、(A)ガスに含まれる約400種の不要物質を特定・精製する技術と、(B)不要物質の状態をリアルタイムでモニタリングしながらプロセスを効率的に駆動する制御技術を開発した。さらに、「培養コントロール技術」として、(C)組成変動に応じて微生物の生育状態を調整し、活性を一定に維持する技術と、(D)ごみ処理施設特有のリスクに対応できる技術を確立した。これらにより、LanzaTech社の微生物が触媒として利用可能になり、ごみの「扱いづらさ」を解決した。

 積水化学工業によると、今回の技術はごみの再利用による化石資源の代替だけでなく、新たな産業創出による地方活性化や、炭素の固定化効果によるCO2排出抑制に貢献できるという。同技術が普及して、ごみからプラスチック等の生産ができるようになる「化石資源に依らない究極の資源循環社会システムの創生」に期待を寄せる。今後、「ごみを都市油田に替える技術」として、国やステークホルダー(利害関係者)に広く説明していくとともに、各自治体やごみ処理関連企業などのパートナー候補を募る。まずは2019年度に実用プラント稼働を目指し、以降は各地のごみ処理施設の更新タイミングで同技術の普及を目指す。

「究極の資源循環社会システムの創生」
「究極の資源循環社会システムの創生」
(図:積水化学工業)
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