積水化学工業と米LanzaTech社は、可燃性ごみを分別せずにエタノールに変換する生産技術を世界で初めて開発したと発表した(ニュースリリース)。ごみをガス化し、微生物を触媒にすることで実現する。実際に収集したごみから高い生産効率でエタノール化しており、既存のプロセスと比べて十分に競争力のあるコストを実現・実証したという。
発表によると、日本国内で年間約6000万トン排出される可燃性のごみは、エネルギー量に換算すると約200兆kcalに上る。日本でプラスチック素材を生産するのに用いられる化石資源(年間約3000万トン、約150兆kcal)と比較しても十分な量だが、ほとんどは焼却・埋め立て処分されている。ごみの再利用が進まないのは、雑多で不均質であるために、含まれる成分や組成の変動が大きく、工業原料としては扱いにくいことが原因とする。
今回の技術開発にあたり、積水化学工業は埼玉県寄居町にごみ処理施設をもつオリックス資源循環(東京都港区)の協力を得て、同構内にパイロットプラントを建設した。ごみを化学的組成が単一の原料に変換する技術として「ガス化」を採用し、「微生物触媒」によってエタノールを生産する。ガス化は、ごみを低酸素状態でCOやH2の分子レベルに分解する方法で、既に確立されている技術である。