「ナノセルロース展」
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「ナノセルロース展」
CNF強化樹脂を用いたエンジンカバー
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CNF強化樹脂を用いたエンジンカバー
CNF強化樹脂を用いたエンジンカバーの裏側
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CNF強化樹脂を用いたエンジンカバーの裏側

 植物由来の新材料であるセルロースナノファイバー(CNF)の関連技術を展示する「ナノセルロース展」が、「エコプロ2016」(2016年12月8~10日、東京ビッグサイト)内で開催された。CNFは、植物の主成分の1つであるセルロースを使った、直径が3~数十nmの繊維状の材料。木材などから製造されるパルプを処理してほぐすことで造る。ナノセルロース展では、企業や研究機関がCNFを使った自動車部品や骨補填剤、ボールペンなどの製品や関連技術を出展している。

 京都大学は、CNFを5質量%添加したポリアミド(PA)で成形したエンジンカバーを初出展した。CNFを強化材として樹脂に混ぜると、軽量で高強度なCNF強化樹脂ができる。これを使い、3倍発泡させて成形したのが、新しいCNF強化樹脂製エンジンカバーだ。特徴は、質量が約600gと軽いこと。これに対し、ガラス繊維を30質量%混ぜたガラス繊維強化PAで造った従来のエンジンカバーは約900gと重かった。つまり、CNFを使うことでエンジンカバーは約3割軽くなった。

 京都大学はCNFのコストを抑えてCNF強化樹脂を製造する「京都プロセス」を開発しており、自動車部品に向けたCNFの開発を進めている。さらに、今後はCNFを自動車部品に使うと燃費がどれくらい向上するかなども2020年度までに検証する予定である(関連記事)。