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 トヨタ自動車が2016年12月6日に発表した新しい排気量2.5Lで自然吸気の直噴ガソリンエンジンは、今後投入する19機種のエンジン群に共通する設計指針を採り入れた最初のものだ。設計指針に基づくすべてのエンジンで熱効率を高め、出力と燃費性能を上げられる。開発工数も減らせる。次世代エンジンの開発に、多くの技術者を投入しやすくなる。

 共通設計指針を「コモンアーキテクチャー」と呼ぶ。トヨタが2015年に発売した「プリウス」から採用したプラットフォーム「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」に対応する。指針に基づくエンジンを搭載できるように、TNGAを設計していた。

 部品の形状ではなく、燃焼形態を共通にすることを狙った。空気を多く入れながら、速く燃やすことを目指す。空気を入れる量を示す流量係数と、気筒に入れた空気の縦渦の速さを示すタンブル比をともに大きくする。タンブル比を大きくして混合気を乱すと、速く燃える。

 ただ一般に、二つの指標は相反する。吸気口を広くして単純に流量係数を大きくすると、タンブル比は小さくなる傾向だ。空気を多く入れると流れが遅くなり、縦渦が弱まりやすい。