米ニコラ・モーター社が発表した燃料電池トラック「Nikoca One」
米ニコラ・モーター社が発表した燃料電池トラック「Nikola One」
(出所: Nikola Motor)
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 米ニコラ・モーター(Nikola Motor)社は12月1日、電気と水素を動力源とする運送用トラック「Nikola One」を発表した。

 「Nikola One」は、800Vの交流モーターによる駆動系を採用しており、320kWhのLiイオン電池と、燃料電池システムを搭載している。これにより、800~1200マイル(1280~1920km)の航続距離を実現したという。

 水素の搭載方式や容量については詳細が明らかにされていないが、市販の燃料電池車と同様に圧力70MPaのタンクを採用する場合、航続距離から見て360l以上の容量になると推測される。

 動力性能では、1000馬力以上の出力と2000ft.lbsのトルクを実現し、軽油を燃料としディーゼルエンジンの駆動系を持つ従来の運送用トラックを完全なゼロ・エミッションで凌駕するとしている。

 ニコラ・モーター社はNikola Oneと同時に、リース・プログラムも発表した。72カ月のリース期間中、燃料となる水素を回数に制限なく充填可能とし、保証とメンテナンスを付与する。同社はこれまでにNikola Oneのリースに対して30億ドル分の予約を受け付けたという。なお、当面Nikola Oneはリースのみで提供し、売り切りによる販売は行わない。

 同社はNikola Oneの製造工場を米国内で検討中であり、2017年の前半までに決定すると見込んでいる。また、米国とカナダを網羅する水素ステーション364カ所の建設を2018年1月より開始する計画という。水素の生成には、100MW規模のメガソーラー(大規模太陽光発電所)を活用するとしている。

 また、同社はNikola Oneのメンテナンスなどを担うパートナー企業として米Ryder System社を挙げている。Ryder System社は全米でトラックのリースやレンタル、サプライチェーン管理などの事業を展開している老舗企業である。

 ニコラ・モーター社は、起業家のTrevor Milton氏が2014年10月にユタ州ソルトレークシティで設立したベンチャー企業である。Milton氏は電気自動車ベンチャーであるテスラ・モーターズ社に触発され、同社を創業したとされる。社名にもテスラ社がちなんだ発明家、ニコラ・テスラ(Nikola Tesla)の「名」の方を使っている。

 一方、同じ電動の駆動系でもテスラ社のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が燃料電池車には極めて懐疑的であるのに対して、ニコラ・モーター社は燃料電池により長距離や重い荷物の運送を行うトラックの事業化を目指している点が大きく異なる。