日立製作所と三菱電機は2017年12月7日、三菱電機の粒子線治療システム事業を日立に譲渡し、両社の事業を統合すると発表した。詳細な協議と関係当局の審査・承認を経て、三菱電機の粒子線治療装置に関わる設計、製造、販売、保守事業を2018年4月に日立に統合する予定。

 粒子線治療は、他のがん治療法に比べて副作用が少なく、治療後の社会復帰も比較的早いことから、有効な治療法の一つとして注目されている(関連記事)。粒子線治療システムの需要は2013年以降に急増しており、世界で70以上の施設が稼働中。今後も毎年10施設以上のペースでの新規建設が見込まれるという。日本では、2016年4月から小児がんの陽子線治療と骨軟部がんの重粒子線治療に対して保険が適用された。

 日立は、日本と北米およびアジアの著名病院13施設から粒子線治療システムを受注し、うち8施設が稼働済みである。グローバルに事業を展開しており、これまでに1万6000人以上の患者が同社のシステムで治療を受けたという。

 一方、三菱電機は国内で粒子線治療やその臨床研究が行われている医療機関17施設のうち9施設に粒子線治療システムを納入している。治療施設の運営に必要な人材育成や施設間連携の支援など、運用面での普及促進にも取り組んできた。

 粒子線治療の市場がグローバルに拡大していく中、両社は開発リソースを統合して事業競争力を高め、より高性能で高付加価値の製品・サービスを提供していくことが不可欠と判断。検討を重ねた結果、幅広くヘルスケア事業を展開している日立への事業譲渡による統合が最適との結論に達したという。今後、日立は両社が培ってきた技術を活用し、最先端の放射線医療やがん治療に貢献するとしている。