米エネルギー大手のConstellation社は、アリゾナ州ツーソン近郊のアンフィシアター公立学校区(Amphitheater Public Schools)で出力9.3MWの分散型メガソーラー(大規模太陽光発電所)プロジェクトが完工したと発表した。

 このメガソーラーは同学校区にある25カ所の学校や関連施設に建設され、運用1年目に同学校区の電力需要の60%を賄うと見込まれている。約2万9000枚の太陽光パネルを校舎の屋上や駐車場、日よけ用のキャノピーなどに設置した。

 最初の1年間に1640万kWhの発電量を見込む。これにより化石燃料で発電した場合に排出される温室効果ガス1万1519tを削減できる。この削減量は、環境保護庁(EPA)のデータによると、2433台の乗用車が排出する温室効果ガスに相当するという。

 今回のプロジェクトでは、同学校区側の初期投資は必要とされておらず、Constellation社が太陽光発電システムを保有し運用する。同学校区はConstellation社と25年間のソーラーサービス契約(SSA、電力購入契約と同様のもの)を締結し、一定の価格で太陽光発電による電力を購入する。契約期間中に1100万ドルから2300万ドルの電気代を節約できると見込む。

 同学校区では、電気代の節約や環境面に加えて教育や快適性などのメリットを強調している。

 教育の面では、発電状況をリアルタイムでモニタリングすることで、太陽光から電気がどのようにして作られるかを生徒が学習できるという。これにより、科学・技術・工学・数学(STEM)分野でのキャリア形成のきっかけになることも期待している。

 快適性に関しては、太陽光パネルを遊戯エリアや駐車場などに設置することで日陰を作れる効果を挙げている。アリゾナ州ツーソンの一帯は晴天日数が全米で最も多い地域の一つであり、太陽光発電には極めて適している(関連記事)。その半面、強い日差しによって生徒が日射病や熱中症にかからないよう、配慮する必要もある。

 Constellation社は2012年以降、アリゾナ州のツーソンとフェニックスの地域で150校に55MW以上の太陽光発電システムを設置してきた実績を持つという。全米では、企業や政府などの顧客も含めて約300MWの太陽光やバイオマスなどのクリーンな分散電源を保有、運用しているという。