JPEAの公表する四半期ごとの太陽光パネル国内出荷量。カバー率の低下が指摘される(単位:kW)
JPEAの公表する四半期ごとの太陽光パネル国内出荷量。カバー率の低下が指摘される(単位:kW)
(出所:JPEAの公表データを基に日経BP作成)
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 太陽光発電協会(JPEA)は11月24日、太陽光パネル国内出荷統計の2016年7~9月の集計値を公表した。それによると住宅用は308MW(前年同期比84%)、500kW未満の発電所向けは404MW(前年同期比74%)と減少傾向が続いている一方、500kW以上の発電所向けは953MWとなり前年同期比110%と伸長した。

 住宅用や低圧連系向け、1MW以下のミドルソーラー向けの市場が縮小傾向なのに対し、1MWを超えるメガソーラー(大規模太陽光発電所)の需要は、堅調に推移していることが伺える。固定価格買取制度(FIT)の開始当初に認定を取得した大型案件の建設が継続していることが背景にある。 高圧や特別高圧案件を主体にした電線メーカーも、「依然として需要は強く、数年は底堅く推移しそうだ」との見方が多い。

 JPEAの国内出荷統計を巡っては、調査対象のカバー率の低下が指摘されている。2015年におけるJPEAの国内パネル出荷統計は7863MW(7.863GW)となったが、経済産業省の公表した同年の新規導入量は9765MW(9.765GW)に達している。経産省の統計は、連系出力ベースなので、連系出力以上にパネル容量を積み増す「過積載」を考慮すると、2015年のパネル出荷量は11GW程度だったとの見方も有力だ。

 JPEAによる国内パネル出荷統計のカバー率が下がっているのは、調査対象に入っていない中堅の海外メーカーによる日本へのパネル出荷が増えているからだ。各種統計データから推測すると、JPEAによる集計値のカバー率は7~8割程度に下がっていると見られる。

 大型の案件ほど、海外メーカーのシェアが年々、高まっている。そのため、今回、JPEAの公表した2016年7~9月の出荷統計である「500kW以上向け・110%」より、実際のメガソーラー向け市場は、さらに拡大している可能性もある。