ドイツVolkswagen(VW)社が、自動車を使ったサービス事業に本腰を入れる。同社は2016年12月5日、人の移動に関わるモビリティーサービスを展開する新ブランド「MOIA」を発表した。トヨタ自動車をはじめとする競合もこの領域を商機と見ており、競争が激化しそうだ。

 「将来的に、多くの人が自分のクルマを所有しなくなるだろう」。こう語るのは、VW社CEO(最高経営責任者)のMatthias Muller氏だ。クルマへの消費者ニーズが“所有”から“利用”へと移りゆく時代の変化を受け入れながら、MOIAを介して「全ての人をVWグループの顧客にする」(同氏)ことを狙う。

図1 VW社CEOのMatthias Muller氏(右)と、MOIA社のCEOに就任するOle Harms氏(左)
図1 VW社CEOのMatthias Muller氏(右)と、MOIA社のCEOに就任するOle Harms氏(左)
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 VWグループは現在、「Volkswagen」を筆頭に、「Audi」や「Porsche」など12のブランドを抱えるが、いずれも車両の生産・販売に注力してきた。これに対して、13番目のブランドとして誕生したMOIAは、クルマの利用に焦点を合わせる。

 MOIAを独立した組織として展開するため、サービスと同名の子会社をドイツ・ベルリンに設立する。当初は50人規模で立ち上げ、2017年には幾つかの試験サービスを開始する計画だ。