芝浦工業大学(東京都港区)は11月30日、スターリングエンジンと太陽光パネルを組み合わせ、災害時などに電気と温水を供給する軽自動車型ハイブリッド電源車を開発したと発表した。同大電気工学科・高見弘教授による成果。
スターリングエンジンは、シリンダー内のガス(または空気)を外部から加熱・冷却し、その体積変化でピストンを動かす仕組み。外燃機関のため、多様な燃料が使える。ボイラーで作った蒸気でタービンを回す一般的な外燃機関に比べ、コンパクトになる利点がある。
今回導入したスターリングエンジンは、3kgの木質ペレットを1時間燃焼した場合、1kWの電力と45℃・200リットルの温水を提供できる。加えて、600Wの太陽光パネルを搭載し、エンジンと合わせ48V、110Ahの蓄電池に充電する。これらのシステムを軽トラックの荷台に収まるサイズでコンパクト化した。
電気と同時にお湯も作れるため、照明や調理に加え、食器洗浄やお風呂・シャワーなどに活用できる。また、災害現場ではガレキ撤去のための電動ノコや救命機器などの非常用電源としても利用を想定している。
スターリングエンジンは、2014年11月の経済産業省による規制緩和の結果、出力10kW未満の発電設備であれば、一般用電気工作物として区分され、製品化への期待が高まっている。一方で、スターリングエンジンに一般的な発電制御用コンバータシステム(交流を直流に変換する機器)を接続すると、コンバータが出す高調波によってエンジンが不安定になるという課題があったという。
そこで、高見教授は、この問題を解決するコンバータを開発し、軽自動車の荷台にすべて収まる非常用電源システムを試作した。システムの一部を特許申請している。