「それまでは『おぼっちゃま』とも言われていた。自分はトヨタのやっかい者なのかという感覚まであった。しかし、僕はトヨタが大好きで会社なしに人生を語れない。クルマも好きだ。自分が社長が辞めることで、しんがり役として会社を守れるならば、やっかい者なりに最後にトヨタの役に立てる」。豊田氏はそこまで考えたという。

 ところが、豊田氏が公聴会を終えると、全米からワシントンDCに集まった販売店や工場の関係者が強く励ましてくれた。その言葉を聞いた豊田氏は感情を抑えきれずに思わず涙を流した。

 「自分がひとりぼっちで公聴会に出ているという感覚だった。そう思っていたら実はみんなに支えられていた。そう分かった瞬間、緊張の糸が切れた」と豊田氏は男泣きした理由を語った。

 一連の体験で豊田氏はどう変わったのか。