温泉施設に立地し、オンサイト型の熱電併給事業を実現
温泉施設に立地し、オンサイト型の熱電併給事業を実現
(出所:洸陽電機)
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 エネルギー関連を手がける洸陽電機(神戸市東灘区)は11月28日、定格出力165kWの木質バイオマス発電所「飛騨高山しぶきの湯バイオマス発電所」のEPC(設計・調達・施工)サービスを担当すると発表した。

 岐阜県高山市国府町にある温浴施設「宇津江四十八滝温泉しぶきの湯 遊湯館」に立地し、発電事業者は飛騨高山グリーンヒート合同会社(岐阜県高山市)となる。

 ドイツ・ブルクハルト製の小型で高効率な木質バイオマス熱電併給システムを採用し、電気と熱を供給する。電気は中部電力に売電し、熱は敷地内のしぶきの湯 遊湯館に供給する。これにより、オンサイト型のコージェネレーション(熱電併給)事業を実現できる。

 固定価格買取制度(FIT)を活用した発電所で、この木質バイオマス熱電併給システムを採用したのは国内初としている。FITに基づく発電所以外を含めると、群馬県上野村に続いて2例目となる。

 高山市は、市内の92%を森林が占めており、日本一森林面積の広い市である。再生可能エネルギーの導入にも取り組んでおり、森林活用との相乗効果も大きい今回の木質バイオマス発電では、市による事業支援と県による補助を受ける。

 導入資金として、地元の金融機関から融資を受けることも決定している。

 燃料は未利用木材を加工した木質ペレットで、木質燃料(岐阜県高山市)が供給する。高山市近隣から集めた地元材を活用することで、継続した雇用創出を可能にする。

 売電開始は、2017年3月を予定している。稼働後の年間発電量は約126万kWhで、このうち送電量は約120万kWhを見込んでいる。一般家庭約368世帯分の消費電力に相当する。

 発電効率は30%で、熱利用も含めた総合エネルギー効率は最大で75%になる。遊湯館は、熱を購入することで、ボイラーで使う灯油を年間約124kl削減できる見込み。