米オハイオ州のエネルギー事業大手であるAEPオハイオ社は11月28日、風力発電500MW、太陽光400MWを新規に導入するほか、マイクログリッドを推進することなどを含む事業計画を公表した。

 オハイオ州公益事業委員会(PUCO)に、現在の「電気セキュリティ計画(ESP)」を修正した提案を申請したもの。現行のESPが、2018年5月で失効するための措置である。

 今回の提案では、顧客サービスや信頼性を改善するための投資を継続するという。具体的には、老朽化した機器を故障する前に交換し、木の枝の刈り取りや植生管理を積極的に行うことなどによって、停電を未然に防止し発生頻度を低減するとしている。

 修正版ESPでは、再生可能エネルギーによる電源への設備投資も含まれている。PUCOによる認可を前提として、オハイオ州で900MWの再エネを新規に導入すると公約している。再エネの内訳は、風力が500MW、太陽光が400MWである。

 また、同社が所有する配電網に新たにスマート技術を導入することで、フランクリン(Franklin)郡など10郡で進められている「スマート・コロンバス(Smart Columbus)」の取り組みを支援するという。

 具体的には、警察署や消防署、医療施設といった重要性が高い公的インフラに途切れなく電力を供給するためのマイクログリッドを8~10カ所、電気自動車(EV)用の充電ステーションを250基、節電と安全性を両立可能なスマート街灯システムなどを導入することを提案している。

 スマート・コロンバスの取り組みの一環としてこれらのスマート技術をフランクリン郡などの10郡でまず導入し、その後同社のサービスエリアの他の地域にも拡大するという。

 AEPオハイオ社は、今回提案する修正ESPに対するPUCOによる認可の判定が2017年4月に下されると見込む。

 認可された場合、毎月1000kWhの電力を使用する平均的な顧客の場青、電気料金が毎月1.58ドルの値上げになるとしている。ただし、同計画を進める8年間に他の費用を削減できるため、全体的にはほとんどの顧客で料金の引き下げになるという。

 米国ではカリフォルニア州サンディエゴのSan Diego Gas & Electric (SDG&E)社が実証プロジェクトの一環としてマイクログリッドを構築するなど、エネルギー事業大手がマイクログリッドの導入を進める動きが増加しつつある(関連記事1関連記事2)。

 一方で、電気料金の値上げに繋がることから消費者団体などが反発し、マイクログリッドの構築を断念せざるを得なくなった事例も出てきている(関連記事3)。

 今回AEPオハイオ社が申請した事業計画でも、マイクログリッドなど新しいスマート技術の導入とそれに伴う電気料金の値上げが含まれている。新技術の導入と電気料金の抑制のどちらを優先するのか、2017年4月に明らかとなるPUCOの判断が注目される。