シンガポールのソーラーホーム(SolarHome)社は11月27日、ミャンマーの未電化地域で設置を進めているオフグリッドの太陽光発電システムが当初目標の1000軒に達したと発表した(図)。

ミャンマーでオフグリッドの太陽光発電を提供するSolarHome社のスタッフ
ミャンマーでオフグリッドの太陽光発電を提供するSolarHome社のスタッフ
(出所:SolarHome)
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 同社によると、1000軒の電化で4900人が再生可能エネルギーによる電気の恩恵を享受できるようになったという。このなかには、日没後まで勉強時間を延長できた学童数1670人、営業時間を延長できた商店のオーナー200人、夜間の漁業が可能となった漁師120人も含まれるとしている。夜間の漁業では、同社製システムの一部として提供される取り外し可能なトーチライトを使用する。

 月間設置数は、ここ3カ月間で500軒以上に増加したという。それ以前は100軒以下だった。設置数の増加に伴い同社は、当初の試験的な運営から大量生産に対応できるよう事業基盤を強化した。

 具体的には現在、ミャンマー国内に拠点を5カ所開設し、営業やシステムの設置を担当する現場の人員を50人以上として同事業を展開している。

 ソーラーホーム社は「レント・ツー・オウン(RTO:購入選択権付きレンタル)」方式による太陽光発電システムの提供を主要な事業とするベンチャー企業。シンガポールを拠点とし、東南アジアを主な事業地域としている。

 現時点ではミャンマーで事業展開しているだけだが、同社の公式サイトによると今後フィリピン、インドネシア、カンボジアでも事業を開始する準備を進めているとみられる。

 同社のMila Bedrenets 代理CEO(最高経営責任者)は、「ミャンマーでは今後も、4万世帯以上にクリーンなエネルギーを手頃な価格で供給する計画だ。社会貢献と同時に、株主にも利益を還元していきたい」と述べている。

 レント・ツー・オウン方式は「PAYG (Pay-As-You-GO)」方式とも呼ばれ、「第三者所有(TPO)モデル」などと同様に太陽光発電の分野で広く採用され始めたファイナンシング手法である(関連記事1)(関連記事2)(関連記事3)。

 ジェトロの調査によると、ミャンマーの電化率は2015年に34%で、2006年の16%からは改善されている。首都ヤンゴンの市内では、電化率が約80%と日常生活にも不便を感じないレベルとなってきた。一方、地方では電化率がまだ20%に満たない地域もあり、特にカイン(Kayin)州やタニンダーリ(Tanintharyi)地方では10%以下という。

 ソーラーホーム社は、「東南アジア全体では、電力網にアクセスできない家庭が2700万世帯もある。それらの世帯が薪炭材や化石燃料に出費する額は30億ドルと見られており、市場規模は非常に大きい」(Bedrenets 代理CEO)と今後の事業拡大に期待を示す。