がんの次世代放射線治療技術「BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)」の臨床応用に向けて、京都府とローム、京都府立医科大学、福島SiC応用技研がタッグを組む。2016年11月22日、ロームのSiC(シリコンカーバイド)技術を用いたBNCT治療機器(SiC-BNCT機器)を京都府立医科大学と福島SiC応用技研が共同開発すること、およびSiC-BNCT機器とそれを納入する建物をロームが京都府に寄付することで合意したと発表した(ニュースリリース)。
京都府立医科大学と福島SiC応用技研が、SiCベースの加速器によって従来比で大幅に小型化したBNCT機器と、それに必要な薬剤を共同開発する。ロームはここに最新のSiC技術(トレンチゲート型SiC-MOSFET)を提供するとともに、機器開発への技術支援を行う。機器完成後には、ロームがこれを京都府に寄付する。
SiC-BNCT機器を納入する研究施設(将来は治療施設)については、京都府立医科大学の敷地内にロームが「ローム記念BNCT研究センター(仮称)」を建設し、京都府に寄付する予定。同センターは地上2階地下2階で、延べ床面積は3700m2程度となる見込みである。
京都府立医科大学では、がんの陽子線治療施設を備えた「永守記念最先端がん治療研究センター」の整備が進んでいる(関連記事1)。SiC-BNCT機器とローム記念BNCT研究センターが完成し臨床応用されれば、がんの陽子線治療と中性子線治療を同一拠点で一体的に行えるようになる。