ドイツのエンヴィオン(Envion)社は11月17日、分散型の再生可能エネルギーを利用して「ビットコイン(Bitcoin)」や「イーサリウム(Ethereum)」といった仮想通貨の「マイニング(採掘)」を行うことが可能な可搬型データセンター「モバイルマイニングユニット(MMU)」を開発したと発表した(図)。

独Envion社が開発した「モバイルマイニングユニット(MMU)」
独Envion社が開発した「モバイルマイニングユニット(MMU)」
(出所:Envion)
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 エンヴィオン社はスイスの起業家らが2017年にベルリンで設立したベンチャー企業で、仮想通貨やブロックチェーンに関する技術と事業の開発を行っている。

 仮想通貨では、一定の期間ごとにすべての取引記録をインターネット上に分散して保存される取引台帳(ブロックチェーン)に追記する。台帳に保存されているデータと追記によって更新されるデータの間では、整合性を取るマイニングを行う必要がある。このためには、コンピューターによる膨大な演算が必要となり、その処理を行うコンピューター装置には極めて高い処理性能が求められる。

 一般に演算処理が高速で高性能なコンピューター装置では、消費電力が大きくなる。また、処理を行うとコンピューターが発熱するため、安定的に稼働させるためにはコンピューター装置を冷却する必要もある。このような理由から、ビットコインなどのマイニング処理を行うデータセンターは、電気代が安く気温が低い場所に設置されることが多い。

 エンヴィオン社によると、現在そういったビットコインのマイニング市場の80%は中国に集中して偏在しており、環境問題や地政学リスクなどの点で課題が多いとしている。

 一方、太陽光や風力などの再エネ導入量が増加してきた地域では、電力系統側の容量による制約から、供給が需要を上回るために接続できない発電所が出てきたり、接続されていても発電を休止させるよう要請されたりする事例が出てきた。