イタリアの大手電力会社であるエネル(Enel)社は11月14日、米ネブラスカ州ディクソン(Dixon)郡で設備容量が320MWの風力発電所「ラトルスネーク・クリーク(Rattlesnake Creek)ウインドファーム」を建設すると発表した。

 同社が米国法人であるEnel Green Power North America(EGPNA)社を通じて進めるプロジェクトで、同社としてはネブラスカ州で初めての風力発電所となる。

 同プロジェクトの投資総額は約4億3000万ドルで、エネル社が自ら賄う。同社の現在の戦略的計画に沿った投資の一環としている。

 ラトルスネーク・クリークが発電する電力の200MWと再生可能エネルギー・クレジットは、包括的な長期の電力購入契約(PPA)の下、ソーシャルメディア事業大手のフェイスブック(Facebook)社が購入する。残りの120MWは、EGPNA社が他の事業者や需要家に売却する。

 フェイスブック社は現在、ラトルスネーク・クリークから北方に約200kmのパピリオン(Papillion)にデータセンターを建設中である。フェイスブックによると、146エーカー(約59ha)の敷地に約4万1800m2のデータセンター建屋を2棟、約6500 m2のオフィス1棟を建設する計画で、2020年の稼働を見込む。

 フェイスブック社として米国内で6番目、世界では9番目となるデータセンターであり、最新技術を活用し省エネルギー性能にも優れるという(関連記事1)。今回、EGPNA社から調達することにした風力発電所からの電力でパピリオン・データセンターの運用を賄う。

 ラトルスネーク・クリークの風力発電プロジェクトは元々、カンザス州を拠点とする再エネ開発事業者のTradewind Energy社が取り組んでいた。ところが、発電した電力の買い手がつかず、2013年にプロジェクトが中断、最近まで頓挫したままとなっていた。

 今回、フェイスブック社がネブラスカ州パピリオンにデータセンターを新設することに加え、グローバルに再エネ事業を展開するエネル社がTradewind社のプロジェクトを取得して引き継ぐことで、一時中断した風力発電プロジェクトが再び動き始めた形だ。

 EGPNA社はTradewind社がミズーリ州で手がけていた300MWの風力発電所「ロッククリーク(Rock Creek)・ウィンドファーム」も建設を完了させ、11月から売電を開始しているという。同社は現在米国の23州とカナダの2州で約100カ所、設備容量で3.6GW以上の水力、風力、地熱、太陽光による電源を保有、運用している。

 エネル社がグループ全体でグローバルに保有、運用している電源は、39GW以上に上る(関連記事2)。