ジャパンディスプレイ(JDI)は、VR向けヘッドマウントディスプレー(HMD)専用の3.42型低温多結晶Si(LTPS)TFT液晶パネルを開発、サンプル出荷を開始したと発表した(ニュースリリース)。VR用HMDの画像の滑らかさや動画品質を高められるため、没入感とリアリティーが向上し、より現実に近い体感を提供できるとする。

 JDIによると、現在発売されているVR用HMDに使われている表示パネルは、スマートフォン用の技術を流用したものがほとんどだという。VR用HMDの没入感とリアリティーを高めるために必要な精細度、応答速度、動画品質を全て満足するパネルがないため、VR用HMDの画像の粗さや動画ぼやけの要因になっているとする。

 そこでJDIは今回、VR専用の超高精細・高速応答の液晶パネルを開発した。(1)651ppiの超高精細、(2)90Hzのリフレッシュレート、(3)3msで白黒の切り替えが可能な高速応答IPS液晶、(4)ブリンキングバックライトの4つの技術を採用し、実現している。

 VR用HMDの画像の滑らかさ向上に貢献するのが、(1)651ppiの超高精細である(図1)。VR用HMDではパネルとユーザーの目の間にレンズを配置し、画像を拡大するため、スマートフォン用のパネルを流用した製品では、画素の粗さが目立つという課題があった。現在のスマートフォン用パネルは、ハイエンド品でも精細度は400ppi台前半である。JDIは今回651ppiのパネルを開発、さらに2017年には800ppi以上のパネルの開発とサンプル出荷を予定している。

図1 精細度の比較
図1 精細度の比較
(出典:JDIのニュースリリース)
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