ドイツの太陽電池ベンチャーであるHeliatek社は11月15日、フランス西部のシャラント=マリティーム(Charente-Maritime)県ラ・ロシェル(La Rochelle)にあるピエールマンデス・フランス中学校の屋根上に総面積500m2分の太陽電池を設置したと発表した(図1)。建材一体型の有機薄膜太陽電池の設置事例としては、これまでで世界最大という。
Heliatek社がエネルギー大手仏ENGIE社と共同で進めたプロジェクトであり、同社の有機薄膜太陽電池「HeliaSol」を初めて採用している。ENGIE社はHelinatek社に出資している。
2m、4m、5.7mと3種類の異なる長さのフィルム状のHeliaSol約400枚を組み合わせて設置した(図2)。太陽電池フィルム内に埋め込んだ配線や、フィルム裏面に塗布した粘着剤によって、既築の屋根や建物の表面に直接設置することが可能としている。
今回の中学校の事例では、準備時間を考慮に入れても、500m2の太陽電池フィルム設置を6人の作業者が8時間で完了することができたという。太陽電池フィルム1枚当たりの工数は、約2分である。
太陽光発電システムの出力は22.5kWで、同中学校の電力需要の約15%となる23.8MWhの電力量を1年間に発電する。
ENGIEのIsabelle Kocher CEO(最高経営責任者)は、「再エネは、『エネルギーの3D』、つまりエネルギーの脱炭素化(decarbonization)、非集中化(decentralization)、デジタル化(digitalization)という当社の事業戦略に不可欠だ。エネルギー消費の半分近くは、建築物に由来する。HeliaSolを使えば、従来は太陽光発電を搭載できなかった建物でも電力を生み出せるようになり、クリーンなエネルギーの地産地消に寄与できる」と述べている。