12誘導心電計測ウエアラブル電極布
12誘導心電計測ウエアラブル電極布
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アプリケーションで表示した心電図例
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 帝人フロンティアは2017年11月16日、12誘導心電の計測が可能なウエアラブル電極布を一般医療機器(クラスⅠ)としてPMDA(医薬品医療機器総合機構)に届出を行うと発表した。「テクノセンサーER」の製品名で、2018年春に販売を開始する。

 このウエアラブル電極布は帯状のe-テキスタイル(電気回路を持つ布)となっており、胸の周りに巻きつけることで、12誘導心電を迅速、簡単かつ適切に計測できるようにしたもの(関連記事)。西陣織の技術を用いて作製しており、複雑な模様の電気回路を1本の糸で織り上げていることから、生体電気信号の計測に適したe-テキスタイルを工業的に生産することが可能という。付属のサイズセレクタを用いることにより、S、M、L、LLの各サイズの体型に合わせた計測が可能である。

 開発は、京都大学医学部附属病院 医療情報企画部と共同で進めた。同部 教授の黒田知宏氏が培ってきた医療情報学の知見と、京都の伝統工芸である西陣織の技術、帝人フロンティアの素材調達力や製品化のノウハウ、マーケティング力を融合した・

 帝人フロンティアは今後、一部の病院や自治体の消防本部向けにテクノセンサーERのテスト販売を開始。2018年春には、医療機器や救急資材関連の代理店を通じて全国の病院や消防本部などに幅広く提案し、積極的に拡販を図っていくとしている。2020年度には約1億円の売上を目指す。

 急性虚血性心疾患など緊急措置を要する疾患を早急に把握し、患者の救命率を向上させるためには、救急搬送の前に12誘導心電による精密な心電計測を迅速に実施することが重要とされている。12誘導心電は10個の電極を正しい位置に取り付けなければ適切に計測することができないため、救急現場での実施が困難で、これまで広く普及していないのが現状。同製品は、こうした問題を解決することを目指す。