関西電力は11月15日、モルディブに設置していた太陽光発電システムが完成したと発表した。
同国のディフシ島に、出力40kWの太陽光発電システムを設置した。漁業や観光を主な産業とする島で、人口は約1200人、ピーク時の電力需要が300kW程度となっている。設置された発電システムによる太陽光発電電力は、同島の電力系統に連系する。
同島の電力網は、ディーゼル発電機を電源として活用している。太陽光発電の導入では、天候によって発電量が変動した際に、いかに電力系統を安定させるかが課題となった。
そこで、同島の主要産業である漁業に必要な製氷機を設置した。太陽光発電によって電力供給が需要を超えそうな場合には、製氷機を稼働させることで需要を増やし、太陽光発電の最大限の活用と電力需給バランスを両立する。
関西電力は、モルディブ政府からの協力要請に応え、今回の太陽光発電プロジェクト「ディフシ・ソーラーアイス・プロジェクト」を実施した。
GSEP(Global Sustainable Electricity Partnership:持続可能なエネルギー開発など、電気事業に関する世界的な課題に取り組むための各国主要電力会社による団体)の開発途上国支援プロジェクトとして、日本とモルディブ両政府との官民連携で取り組んでいる。資金の一部は、外務省の「草の根・人間の安全保障無償資金協力」が拠出している。
11月6日に完工しており、11月14日にモルディブの首都であるマレにおいて、設備譲渡式を開催し、太陽光発電や製氷機などの設備一式をモルディブ政府に無償で譲渡した。
O&M(運用・保守)はモルディブ政府が担うが、設備の健全性や電力系統の安定化などを確認するため、関西電力は今後5年間、運転状況をモニタリングする。