Absorb生体吸収性冠動脈ステント
Absorb生体吸収性冠動脈ステント
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 米Abbott Laboratories社は2016年11月上旬、冠動脈疾患の治療を適応とした体内で溶ける冠動脈ステントについて、厚生労働省から製造販売承認を得たと発表した(プレスリリース)。

 同社の「Absorb生体吸収性冠動脈ステント(Absorbステント)」は、体内で完全に分解して消失するステント。既に100カ国以上で販売承認を受け、15万人以上の冠動脈疾患治療に使われた実績があるという。

 従来の冠動脈ステントは金属製。これに対しAbsorbステントは、体内で自然に分解する素材で構成される。狭くなった血管を広げ、血管を内側から支える役割を果たし終えると、血管治癒を進めながら3年程度をかけて体内で分解し消失する。

 金属製のステントは血管の治癒後も血管内に残存するため、金属製ステントで治療を受けた血管では、血管本来の運動機能が妨げられたり、将来的な治療選択肢の制限や、遠隔期の臨床イベント発生につながる可能性があった。一方、Absorbステントで治療を受けた場合には、経過観察時の診察手段として画像解析検査のような非侵襲性の方法や、医療費を抑えた方法を選択できるなどの可能性が示唆されているという。