CO<sub>2</sub>有効利用のイメージ
CO2有効利用のイメージ
(出所:NEDO)
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 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は11月14日、石炭火力発電所から排出されるCO2を有効利用するための技術開発に着手すると発表した。CO2有効利用技術を用いた有価物製造プロセスや全体システムについて検証・評価し、将来有望なCO2有効利用技術の確立を目指す。

 石炭は供給安定性や経済性に優れた化石資源であり、石炭火力は国内の発電供給量の26%を担っている。しかし、CO2排出量が多いことから、気候変動対策と両立するには排気中に含まれるCO2を分離・回収して貯留するCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)や、利用するCCU(Carbon dioxide Capture and Utilization)技術の確立が重要となる。

 次世代火力発電の早期実現に向けた協議会が2016年6月に策定した「次世代火力発電に係る技術ロードマップ」では、2030年度以降を見据えた取り組みにCCU技術を挙げている。これらを踏まえてNEDOは今回、「CO2有効利用技術開発」と「CO2を利用した陸上養殖技術の研究開発」の2つのテーマを採択した。

 「CO2有効利用技術開発」では、石炭火力などの排ガス中に含まれる高濃度CO2と、再生可能エネルギーの電力で製造した水素を用いて、メタンを生成し有効利用する技術などについて、有価物の製造プロセスやシステム全体の調査および検証試験を通じて技術の適用性を総合的に評価する。委託先はエネルギー総合工学研究所、地球環境産業技術研究機構、国際石油開発帝石、JFEスチール、日立造船の予定。

 「CO2を利用した陸上養殖技術の研究開発」では、石炭火力の排ガス中に含まれる高濃度CO2を効率的に海水に溶解させて海藻を培養する、陸上養殖製造プロセスの確立に関して調査・研究する。委託先はNECソリューションイノベータ(東京都江東区)の予定。