システムの概要
システムの概要
(出所:日立製作所)
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東大寺の5カ所に設置
東大寺の5カ所に設置
(出所:日立製作所)
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案内用の動画
案内用の動画
(出所:日立製作所)
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 日立製作所は11月9日、奈良県の東大寺で、無給電、かつ、無線で発信するビーコン(位置と情報を連動させた伝達システム)と、スマートフォンの応用ソフトウェア(アプリケーション)を使った観光ガイドの実証実験を開始すると発表した。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトにおいて、日立のほか、ソフトバンクグループのリアライズ・モバイル・コミュニケーションズ(東京都港区)、サイバー創研(東京都品川区)の3社で、同日から2017年3月31日まで実施する。

 ビーコンの端末は、環境発電(エネルギーハーベスティング)を使うことで、屋内外で無給電で動作できる。このビーコン端末は、メンテナンスフリーとし、「クリーンビーコン」と称している。

 あらゆるモノがインターネットでつながるIoTの普及に際しては、電子機器やIoT用の端末の低消費電力化が課題となっている。低消費電力化を実現できる技術は一般的にコストが高く、用途が限定されている現状がある。

 そこで、太陽光発電と蓄電システムを活用することで、コストを抑えながら、無給電で動作し、メンテナンスが不要なビーコン用端末を開発した。大量のビーコン用端末を管理するオープンプラットフォームも開発し、こうした課題の解決を目指す。

 実証では、観光客が今回提供するサービスに対応したアプリケーション(名称:Nara Audio Guide)をスマートフォンにダウンロードし、東大寺の敷地内の5カ所に設置されているビーコン端末に近づくと、自動的に観光ガイド情報や、ナビゲーション情報を提供する。

 具体的には、米アップルの「iOS」に対応しており、英語と中国語、韓国語で案内し、外国人観光客の利用を想定している。観光ガイドの起動スポットに入ると、ビーコン端末が発した電波を受信し、その場に応じた観光ガイド動画が自動再生される。

 これにより、外国人観光客に対して、東大寺の概要や歴史の説明、参拝のマナーなどを紹介する。 アプリケーションのインストールに関する案内は、奈良県の協力の下、東大寺境内、奈良ビジターセンター、奈良市総合観光案内所などで配布する。

 実証を通じ、ビーコン端末とオープンプラットフォームの機能・性能などを検証するとともに、課題を抽出し、実用化に向けて信頼性の向上に生かす。

 プロジェクト終了後には、クリーンビーコン端末の設置・利用ガイドライン、オープンプラットフォームの外部インターフェースを一般公開する。既存のプラットフォームやサービス提供事業者と連携し、市場を創設、拡大していく。

 将来的には、観光のほか、販促や防災といった幅広い分野での活用が見込まれている。