米PECO Energy社が提案していた太陽光と天然ガス火力のマイクログリッド実証プロジェクトの概要図
米PECO Energy社が提案していた太陽光と天然ガス火力のマイクログリッド実証プロジェクトの概要図
(出所:Pennsylvania Public Utility Commission)
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 米ペンシルバニア州のエネルギー大手であるPECO Energy社は、2016年5月に申請していたマイクログリッドの実証プロジェクト計画を撤回した。同社が10月28日、ペンシルバニア州の公益事業委員会(PUC)に提出した申請書類から明らかとなった。

 同社はデラウェア(Delaware)郡のコンコードビル(Concordville)地域で連系出力9.9MWの天然ガス火力発電所、500kWの太陽光発電所、200kWの定置型リチウムイオン蓄電池、電気自動車(EV)用の充電ステーションなどから構成されるマイクログリッドを建設することを申請していた。プロジェクトの総額は3500万ドルである。

 ところが、同州の消費者保護局(OCA)や中小企業保護局(OSMA)、小売りエネルギー供給協会(RESA)などの団体が、同マイクログリッドの建設に強硬に反対したという。反対の理由は、PECO Energy社が発電事業を行うことの妥当性やコスト負担などである。

 PECO Energy社は1996年に成立した同州の条例によって発電事業を分離していた。このため、実証プロジェクトのためとはいえ、同社が発電事業に再度参入することの妥当性を問われた。

 マイクログリッド建設にかかるコストの回収方法も、各団体から見て大きな疑問とされた。PECO Energy社が提案した実証プロジェクト計画では、同社の顧客160万件から徴収する費用に上乗せする形で費用を賄うとしていた。その見積額は、ひと月に1000kWhを使用する世帯で0.29ドルだった。

 PECO Energy社は、それら団体などによる反対意見に対して、当初は2つ構築するとしていたマイクログリッドを1つにするなど、プロジェクト規模の縮小を再提案したが、それも受け入れられなかったという。

 このため、関係者と協議することで実証プロジェクトの検討を最初からやり直すことが最善と最終的に判断し、当初提出していた申請の撤回に至ったとしている。