「米テスラのマスクCEO(最高経営責任者)は最近、ソーラー屋根瓦(solar roof tile)の発表で注目を集めた。だが、我が社はすでに昨年、開発を済ませ販売している」――
オランダのZEP社は11月2日、テスラへの対抗意識を露わにした声明を発表した。
テスラの傘下に入るとみられる米ソーラーシティがテスラ社と共同でソーラー屋根瓦を発売するのは、来年と見込まれる(関連記事1、関連記事2)。一方、ZEP社は、地元のオランダに加え、ドイツ、英国、スカンジナビア半島など北欧でソーラー屋根瓦を既に販売中という(図1)。
ZEP社はセラミック製の瓦に太陽電池を組み込み、ソーラー屋根瓦を構成している。太陽光で発電した電力は、コンセントの電気と同じように使用できるという。
さらに、ソーラー屋根瓦の下部で発生する排熱を回収し、ボイラーに貯蔵する技術も採用している。太陽光から電気と熱を取り出すことで、住宅の光熱費を最小限に抑えられるという。
同社はソーラー屋根瓦と熱回収技術の両方で特許も取得済みといい、「テスラよりもはるかに先行している」と強調する。
テスラとソーラーシティによるソーラー屋根瓦の発表が世界中で大きな話題となったことに対して、対抗意識を見せる一方で、同社製ソーラー屋根瓦への関心も高まったと歓迎の意向も表明している。
同社のJoost de Graaf氏は、「マスク氏の『太陽光が未来のエネルギーで本命になる』という先見の明のある洞察を我が社も共有する。両社とも理想とする使命は同じ」と述べている。
ZEP社が昨年、発売したソーラー屋根瓦は、黒色だけだった(図2)。今年から赤色のソーラー屋根瓦も発売すると発表していた(図3)。赤いソーラー屋根瓦は、都市の景観保護を重視する北欧で特に需要が大きいという。