福島県楢葉町で11月1日、出力11.5MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)「波倉メガソーラー発電所」の運用が開始された。事業主体はSPC(特定目的会社)の楢葉新電力合同会社(楢葉町)。楢葉町が「一般社団法人ならはみらい」に2億7000万円を拠出し、同法人がSPCに全額出資した。

 福島第二原子力発電所に近い楢葉町波倉地区の農地など9カ所、25.7haを地権者44人から賃借し、約5万1000枚の太陽光パネルを設置した。東日本大震災および原発事故に伴う津波による塩害や放射性物質汚染によって営農が困難だった農地を転用した。

 EPC(設計・調達・施工)サービスは東芝が担当し、東芝製の単結晶シリコン型太陽光パネル(270W/枚)と、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製のパワーコンディショナー(PCS)を採用した。太陽光パネルの設置容量は13.792MW、特別高圧での連系出力は11.5MW。

 発電した電力は、福島第2原発の送電線を活用して東京電力に全量売電する。買取価格は32円/kWhで、期間は20年間。総事業費は約45億円で、国と福島県の補助金を活用した。また、地元金融機関によるプロジェクトファイナンスを組成し、融資を受けた (関連記事)。

 楢葉町は2015年9月5日に避難指示が解除され、2017年5月現在で約20%の町民が帰還している。同発電所の稼働によって、一般社団法人ならはみらいは年間4000万円程度の配当金を受け、まちづくり事業を展開する計画。