一連のシステムを協調制御する
一連のシステムを協調制御する
(出所:日立製作所)
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 日立製作所は11月2日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるプロジェクト「水素社会構築技術開発事業/水素エネルギーシステム技術開発」の委託先に採択されたと発表した。

 同社とともに、北海道電力、エネルギー総合工学研究所の3者で提案した。

 風力発電などの再生可能エネルギーの導入が進んでいる北海道稚内市において、再エネ電力の出力変動や余剰電力を、水素を活用して吸収・制御するシステムの事業可能性を調査する。2017年9月までに調査結果をまとめる。

 再エネ発電電力を水素に変換して貯蔵するとともに、水素を燃焼させて発電するシステムの協調制御手法を開発、検証する。このシステムは、蓄電池、水素を発生させる水電解装置、水素を貯蔵するタンク、水素と軽油を燃料とした水素混焼エンジンで構成する。

 このシステムを、独自のアルゴリズムを使って協調制御することにより、出力変動や余剰電力を吸収・制御できる。安価な水電解装置、水素タンク、水素混焼エンジンなどを組み合わせることにより、低コストでシステムを構築できるとする。

 水素混焼エンジンは、電気とともに熱も発生させることから、さまざまな需要家施設の空調用熱源などとしての活用も可能としている。

 今回の調査において、日立は、風力・太陽光発電所の発電データを収集、解析、モデリングするとともに、システムの技術成立性を評価する。

 北海道電力は、システムの運用による電力品質への影響を調査・検討する。エネルギー総合工学研究所は、システム全体の経済性などを総合的に評価する。

 このほか、地方自治体や地域の再エネ発電事業者、外部有識者らによる外部モニタリングを通じて、地域の需要に合ったシステム構築を検討する。