ベストミックス改訂で太陽光を上積みへ

 今後、原発の再稼働や運転期間延長が進まなければ、「低炭素電源44%」を達成するために、再エネ比率の上積みが必要になる。政府がベストミックスを定期的に見直すとしているのは、こうした状況変化を睨んでいる。立地を選ばす開発余力の大きい太陽光は、64GWから徐々に上乗せされ、最終的には100GW程度まで期待される可能性もある。

 経産省は、ベストミックスの低炭素電源比率の達成を担保するため、エネルギー供給構造高度化法によって、電気小売事業に対して一定比率の低炭素電源の調達を義務付ける方向だ。調達義務量を段階的に引き上げて2030年に44%にし、これを全ての小売事業者が達成すれば、国として低炭素電源比率44%が達成できることになる。

 この過程で、低炭素電源の電気には、火力発電の電気にはない「環境価値(低炭素価値)」が付加され、売電価格に上乗せされることになる。結果的に、再エネ発電設備への投資が促進される。政府が検討を始めた「低炭素電源市場」がその布石となる。

 この仕組みは、米カリフォルニア州の再エネ導推進手法であるRPS(リニューアルブル・ポートフォリオ・スタンダード)に近づく。固定価格買取制度(FIT)の買取価格が低下し、役割が終わった後は、PRSに近い制度になり、再エネの環境価値を市場原理で決めていく形で、普及を促す仕組みに移っていく可能性が高い。