住田町にある開発予定地
住田町にある開発予定地
(出所:東北銀行)
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 東北銀行は10月27日、岩手県で開発中の出力約1.999MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)向けに、シンジケートローン(一つの融資契約書に基づく複数行による同一条件での融資)を組成したと発表した。

 同行と三菱東京UFJ 銀行が、共同で幹事行(アレンジャー)となる。融資額は4.86億円で、9月27日に契約した。

 メガソーラーは、気仙郡住田町にある町有地に立地する。同町が総合戦略・計画で掲げている「自然エネルギーの有効活用による化石燃料使用量の削減」に沿った取り組みであり、かつ、住田町、大船渡市、陸前高田市の3市町が、東日本大震災の被災地を環境未来都市として復興することを目指す「気仙広域環境未来都市計画」に沿った取り組みとしている。

 発電事業者は、SPC(特定目的会社)である、ケセンエナジー(岩手県大船渡市)となる。地元で農業施設・太陽光発電設備を手掛けるAMIFA(岩手県大船渡市)などが設立した。資本金は6000万円。

 東北銀行によると、今回のメガソーラーは、地元企業が出資しているほか、町有地の賃借、地元産の気仙杉を原材料に使った木製架台を一部で採用するなど、地元密着の事業としている。

 中でも、木製架台を採用した太陽光発電所は、岩手県内で初となり、地元への収益還元や林業振興に寄与するとしている。

 今回の融資は、無制限・無補償の出力抑制の対象となっているメガソーラー向けとなる。接続可能量(30日等出力制御枠)を超えた系統接続となり、無制限・無補償の出力抑制が連系条件となった案件の場合、事業リスクの評価が難しいことから、プロジェクトファイナンスが進んでいない状況にある。

 シンジケートローンを組成できたカギは、メガソーラーに対するプロジェクトファイナンスの実績が豊富な三菱東京UFJ銀行と協働し、「出力抑制保険」を活用した上、有力と評価するEPC(設計・調達・施工)サービス事業者による信用補完と施工コストの削減、最適化された事業計画の立案にあったという。

 EPCサービスは、恒電社(埼玉県北足立郡伊奈町)とAMIFAが担当する。アドバイザーは、エンブルー(東京都千代田区)に依頼した。

 発電所の出力1.999MWに対して、太陽光パネル出力は約2.858MWとなっている。

 12月に稼働開始を予定しており、年間発電量は、一般家庭約900世帯分の消費電力に相当する、312万434kWを見込んでいる。

 SPCに出資し、EPCサービスも担当するAMIFAによると、太陽光パネルはノルウェーREC Solar Holdings社製とドイツSolarWorld社製、パワーコンディショナー(PCS)はドイツSMAソーラーテクノロジー製を採用した。