CO2の全大気平均濃度の推移
CO2の全大気平均濃度の推移
(出所:環境省)
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 環境省は10月27日、地球大気全体(全大気)に含まれるCO2の「推定経年平均濃度」が初めて400 ppmを越えたと発表した。

 「推定経年平均濃度」とは、観測濃度から平均的な季節濃度変動を取り除いた濃度のことで、その前後半年の1年間の平均値とほぼ同じ値を示す。CO2濃度は1年の周期で季節変動しているため、長期的な変動を監視するには、この濃度を用いる。

 環境省と国立環境研究所、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき(GOSAT)」を用いて、CO2やメタンを観測している。今年5月までの暫定的な解析を行ったところ、今年2月頃に推定経年平均濃度が初めて400 ppmを越えたことがわかったという。

 月別平均濃度については、昨年12月に初めて400 ppmを越えていた。その後さらに解析を進めたところ、今年2月頃に推定経年平均濃度も400 ppmを越えた。「いぶき」のデータに基づいた「全大気」の推定経年平均濃度が400 ppmを超えたことが確認されたのはこれが初めて。

 過去1年間で増加した濃度については、2010年5月から2016年4月の平均値は約2.2 ppm/年だったが、昨年夏頃から今年4月にかけて2.5 ppm/年以上という高いレベルで推移しているという。

 産業革命前に280 ppm程度だったCO2濃度は、約200年で400ppmを超えたことになる。この増加ペースが続けば、今世紀後半に500ppmを超えることになる。

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書では、2100年にCO2濃度を約450 ppm以下に抑える排出シナリオの場合、産業革命以前の水準に対する気温上昇を2度未満に維持できる可能性が高いと報告している。今年11月に発効予定のパリ協定では、世界共通の長期目標として2度目標(450ppm以下)を掲げ、さらに1.5度にも言及している。