医療・健康はビッグデータでもっと良くなる――。NECのプライベートイベント「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO 2016」(2016年11月1、2日、東京国際フォーラム)では、ビッグデータの医療・健康分野への活用に関する技術が多数展示される。

歩行姿勢を6つの観点から評価

歩行姿勢の評価・診断例
歩行姿勢の評価・診断例
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 本記事ではその中から3つの技術を紹介する。1つめは、「歩行姿勢測定システム」である。このシステムでは、人が実際に歩いている様子を3Dセンサーで計測し、年齢ごとの「基準値」と照らし合わせることで、「歩く速さ」「ふらつき」「左右差」「身体の軸」「腕振り」「足の運び」という6つの観点について5段階で評価するとともに、「速度年齢」「姿勢年齢」「バランス年齢」を算出する。システムの直接のユーザーとして想定しているのは接骨院やスポーツジムなどで、計測データや診断結果を歩行動作の改善指導に役立てるという使い方が考えられるという。

3DセンサーとしてKinectを採用した
3DセンサーとしてKinectを採用した
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 3Dセンサーには、米Microsoft社のジェスチャー入力コントローラー「Kinect」を採用した。6mほどの歩行スペースさえあれば、「歩行速度」「歩幅(左右)」「胸腰部の上下動」「足の上がり角度(左右)」を計測できる。これらの計測データを基に前述のような評価・診断を行っている。評価・診断に用いる基準値は、アシックスのスポーツ工学研究所が膨大な歩行データから開発したものである。

 従来、歩行動作を計測するには、高額の専用装置が必要だった上、体にマーカーを付けるなどの手間がかかっていた。NECの歩行姿勢測定システムは、市販のKinectに向かって歩くだけで計測できる。アシックスグループが運営する介護施設で既に導入されており、NECは近日中のリリースを予定している。価格は、システム単体で15万円(税別、評価・診断ソフトウエアのみ、Kinectは含まない)。