登壇したCEOのSimon Segars氏 ARMの公式ビデオからキャプチャー。
登壇したCEOのSimon Segars氏 ARMの公式ビデオからキャプチャー。
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 英ARM社は、プライベートイベント「ARM TechCon 2016」を米カリフォルニア州サンタクララで2016年10月25日~27日に開催した。初日の25日に、同社はセキュアーなIoT実現に向けた新製品群を発表した(ニュースリリース1)。今回発表された新製品は、CPUコア、セキュリティー技術、インターコネクトIPコア、無線通信IPコア、IoTサブシステム、PoP、SaaSである。

ARMv8-Mアーキテクチャーの初のCPUコア

 CPUコアは、「ARM Cortex-M23」と「ARM Cortex-M33」の2製品を新たに発表した。どちらも、2015年11月に発表された「ARMv8-M」アーキテクチャーを実装した初めてのCPUコアになる(日経テクノロジーオンライン関連記事1)。Cortex-M23は既存のCortex-M0やM0+よりも若干性能が高く、Cortex-M33は既存のCortex-M3やCortex-M4よりも少し性能が高いとする。

Cortex-M23とCortex-M33の機能ブロック図(上)と相対性能(下) ARMの図。
Cortex-M23とCortex-M33の機能ブロック図(上)と相対性能(下) ARMの図。
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 MCUメーカー大手10社の過半数は、少なくとも一方の新製品のコアのライセンスを取得したという。ニュースリリース1にはMCUメーカーとして、米Analog Devices社、米Microchip Technology社、台湾Nuvoton Technology社、オランダNXP Semiconductors社、ルネサス エレクトロニクス、米Silicon Laboratories社、伊仏合弁STMicroelectronics社の名前が挙がっている。

 ARMv8-Mの最大のウリモノは、セキュリティー技術の「TrustZone」に対応したことである。TrustZoneはセキュアーな領域(セキュアーOSが稼動)と非セキュアーな領域(Linuxなどの汎用OSが稼動)を分けることで、セキュリティーの確保と汎用OSの利便性を両立させる技術。

 ARMは今回、ARMv8-Mに最適化したセキュリティー技術群「CryptoCell-312」を新たに発表した。CryptoCell-312は、回路とソフトウエアからなり、対称/非対称暗号化、真のランダム数発生、ROT(Roots-of-trust)のアクセスポリシー/オーナーシップモデル、暗号鍵の管理などの機能を提供する。

CryptoCell-312の概要 ARMの図。
CryptoCell-312の概要 ARMの図。
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