CDPの調査報告書「CDP気候変動レポート2016」
CDPの調査報告書「CDP気候変動レポート2016」
(出所: CDP)

 環境系の非営利団体(NPO)であるCDP(旧名称:Carbon Disclosure Project)は25日、世界の企業による気候変動への対応や現状を調査し評価した結果に基づいて卓越した取り組みを示す企業を「Climate A List(Aリスト)」として発表した。

 CDPはグローバルな827社・団体の機関投資家を代表するNPOであり、それらの運用資産総額は100兆ドルという。

 CDPが世界中の企業に気候変動への対応に関する情報の開示を依頼し、それに応じた企業の状況を詳細に調査した報告書「Out of the starting blocks: Tracking progress on corporate climate action(CDP気候変動レポート2016)」として公開したもので、Aリストはその一部である。

 CDPは同報告書で「パリ協定」による合意で定める目標に沿って、温室効果ガス排出量を低減する企業の進捗を追跡調査するとしている。Aリストには、グローバルに事業を展開する多国籍企業などを中心に、世界の様々な業種や業態から193社が登録されている。

 いずれも経済的な成長と温室効果ガスの排出増を切り離すことに成功した企業という位置付け。加えて、気候変動に関する積極的な情報開示や、将来的な取り組みなども含めて評価した。

 エネルギーや公益事業のカテゴリーでは、米Pacific Gas & Electric (PG&E)や伊Enel、スペインIberdrolaなど、メガソーラー(大規模太陽光発電所)の建設や再生可能エネルギーを積極的に調達している欧米のエネルギー事業大手がAリストに選出されている。

 PG&Eによれば、2015年に同社が供給した電気の58%以上が「温室効果ガス・フリー」の再生可能なエネルギー資源によるものという。この水準は、米国の電力業界の平均的な温室効果ガス排出量より約66%クリーンだとしている。

 日本からは、自動車の日産自動車やトヨタ自動車、電機のソニーや東芝、損害保険の損保ジャパン日本興亜など22社が今年のAリストに選出されている。

 トヨタは、2050年までの環境ビジョンを公表し、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを活用することなどで、工場から排出するCO2をゼロにする目標を掲げている。