「ヤマトグループとの協業で新しいビジネスモデルを創造」と述べるパナソニック役員の井戸正弘氏
「ヤマトグループとの協業で新しいビジネスモデルを創造」と述べるパナソニック役員の井戸正弘氏
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センターの外観(写真:ヤマトホールディングス)
センターの外観(写真:ヤマトホールディングス)
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テープカットの様子
テープカットの様子
会見にはヤマトホールディングス社長の山内雅喜氏(左から2人目)、ヤマト運輸社長の長尾裕氏(左から1人目)が登壇した
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テレビで荷物の受け取り時間を指定する際の画面
テレビで荷物の受け取り時間を指定する際の画面
ヤマト運輸が提供するサービスの画面イメージ
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パナソニックによる無人受付システムの開発品
パナソニックによる無人受付システムの開発品
ヤマト運輸が提供するサービスの画面イメージ
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将来の移動ロボットの基になるというパナソニックのロボット
将来の移動ロボットの基になるというパナソニックのロボット
ヤマト運輸が提供するサービスの画面イメージ
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 パナソニックは、ヤマトホールディングスと協業して、次世代物流インフラを活用した新しい事業モデルを創造していく。まずはパナソニック藤沢工場跡地(神奈川県藤沢市)の戸建て住宅街にICT(情報通信技術)で配送効率と住民の利便性の向上を狙った新サービスを2016年11月に始める。

 パナソニックが中心となってスマートタウン化を目指す同工場跡地の住宅街「Fujisawa SST」(推進主体は、代表幹事の同社を含む19団体による「Fujisawa SST協議会」)で実施する。同住宅街に宅配物の受付センター「NextDeliverySQUARE」を設け、ヤマト運輸のほか複数の運送会社が同センターまで荷物を運ぶ。個々の住宅までは、住民の希望する日時と場所にヤマト運輸が、主には台車などを使って届ける。同社は、住民との接点を持つことで、家具の移動や清掃といった宅配以外のサービスの受注拡大にもつなげていく。

 2017年3月までには、センターへ荷物が届いた際に各住宅のテレビに到着情報を通知、テレビのリモコンによるユーザーインタフェースで住民が受け取り時間などを指定できるようにする。テレビへの通知は、地震発生時などと同様に、テレビ視聴中にも画面に表示させることで認知しやすくする。

 住民は、異なる運送会社の荷物の受け取り日時を一括で指示し、自宅やセンターでまとめて受け取ることができるので、在宅を強いられる不自由を減らせる。運送会社は、不在による再配達の頻度を少なくできる。運送車両の利用を減らせるため、住宅街を運送車両が走る頻度の低減とCO2削減につなげられる。2016年から運用が始まった改正物流総合効率化法(流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律の一部を改正する法律)の全国初の対象として国土交通省が認定した。

無人車両の活用も

 センターには、無人の宅配ボックスを設置することで24時間の荷物の発送・受け取りを可能にする。物流インフラを積極的に活用したサービスとして、小田原漁港で採れた魚介類や地元の百貨店の地下店舗で販売中の総菜などをテレビから注文できるようにもする。将来的には、センターから各住宅までの運送に、自立移動型のロボットや電気自動車を活用し、いっそうの効率化と住宅内に従来型の運送車両を走らせないことも可能とみる。

 パナソニックは、今回のシステムに必要な技術・製品の提供を機に、物流関連事業をB2B事業の中核に育てていく。ヤマトホールディングスとは、同社が2017年に開業予定の物流拠点「関西ゲートウェイ」(パナソニックの茨木工場跡地)の構築や2017年3月までに商用化予定の観光支援サービス「手ぶら観光支援サービス」で、物流関連システムを提供する形で継続して協力していく。