Executive ManagerのSven Leinardi氏
Executive ManagerのSven Leinardi氏
(撮影:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]
マリの非電化地域への供給例
マリの非電化地域への供給例
(撮影:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]
フランスではポンプの電源用に採用
フランスではポンプの電源用に採用
(撮影:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]
ドイツ軍は災害時用に採用
ドイツ軍は災害時用に採用
(撮影:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]
トレーラーに収納するタイプ
トレーラーに収納するタイプ
(撮影:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]

 ドイツMulticon Solar社は、「ふくしま復興・再生可能エネルギー産業フェア2016」(10月19日~20日:福島県郡山市で開催)において、「mobile solar plant」と呼ぶ、移動が可能な太陽光発電システムを紹介した。

 太陽光発電や蓄電池などのシステムをコンテナやトレーラーに収納して運搬し、電気の必要な場所で太陽光パネルを広げることで、電力網に連系せずに電気を供給できる。電力網に連系し、マイクログリッドを構築することもできる。

 同社は、ドイツ西部のノルトライン=ヴェストファーレン州(NRW州)にあるデュースブルク(Duisburg)に本拠を置くベンチャー企業。NRW州は、オランダやベルギーと国境を接する位置にあり、欧州有数の工業地域として知られる。

 移動型の太陽光発電システムは、2010年から開発・販売を手掛けている。これまで合計1000件以上のプロジェクトに、出力100MW以上の発電システムを供給した実績があるという。

 コンテナに収納するタイプは、出力3.6~7.2kWとなっている。一般的なコンテナの半分となる20フィートのコンテナに収納して運ぶ。設置する場所では、コンテナから太陽光パネルを取り出し、コンテナの上や周囲に並べる。発電電力は、最大で45kWhの容量の蓄電池に充電し、電気を使う時は、蓄電池を放電する。オプションで温水供給システムを追加できる。

 複数のコンテナを運搬できる場合には、パネルや蓄電池をさらに増やせる。太陽光パネルは18枚・出力5.4kWから174枚・出力52kWまで、Liイオン蓄電池は15kWhから150kWhの間で、選択できる。設置は3人で作業し、2時間で完了する。

 太陽光パネルは、架台に固定された状態で、アレイ(架台に固定する単位)ごとに連結されて一つのコンテナに収納されている。この架台は、固定具などを外すことなく、そのまま折り畳むようにしてコンテナに収納できる。

 設置時には、コンテナから最も遠い位置に設置するパネルを固定された架台ごと引っ張り出すと、一つのアレイ分が連なって次々と伸びるようにコンテナの外に出てくる。折り畳まれた支柱を立てれば、一般的な地上設置型の太陽光発電所のように、パネルが傾いた状態でアレイが地上に建つ。

 アフリカの非電化地域、NATO(北大西洋条約機構)やドイツ軍の災害対策用や緊急時のマイクログリッド構築用、難民キャンプ、農業用ポンプ用電源、スーパーマーケットのイベント用電源などの採用例もあるという。

 トレーラーに収納するタイプは、出力4.8~7.2kWとなっている。太陽光パネルは18枚・出力300kWで、Liイオン蓄電池の容量は15kWhとなっている。太陽光発電電力を蓄電池に入力し、蓄電池を放電させて使う。最小で10分間という短い時間で設置できる。

 同社のSven Leinardi・Executive Managerによると、日本では、災害時の非常用電源としての需要に期待している、という。