大阪大学は9月26日、完全金属フリーの太陽光広帯域応答型光触媒を開発したと発表した。可視光・近赤外光を照射して水から水素を効率よく生成できる。黒リンと窒化炭素からなる複合体で金属フリーのため、相対的に環境負荷を抑制できる。
従来の光触媒は、太陽光に4%程度しか含まれない紫外光を利用していたため、水から水素への太陽光エネルギーの変換効率が低く、実用化には課題があった。
可視光・近赤外光駆動型で完全金属フリーの光触媒は世界初という。紫外・可視光・近赤外線に強い吸収を持つ層状の黒リンと、数層からなるグラファイト状窒化炭素(g-C3N4)の二成分からなる複合体を合成した。
黒リンが可視光・近赤外光に応答する光増感剤、g-C3N4が可視光に応答する光増感剤として働く。黒リンとg-C3N4は、ともに層状構造のため界面を形成しやすく界面間での電荷移動が容易になるため、電荷分離が効率的に進行する。黒リンとg-C3N4との界面にP-N結合が生成して電子捕捉部位となって水から水素を生成することを見出した。
今回の研究成果は、米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society」に9月21日掲載された。