日立製作所は、スマートフォンに標準搭載されているカメラを利用して指静脈認証を実行する技術を開発した(ニュースリリース)。スマホのカメラで指静脈認証する実用レベルの技術を開発したのは、同社の調べでは今回が初めてだとする。

 同社は2016年10月24日に東京の本社で、この技術に関して報道機関向け発表会を開いた。登壇した同社の池田尚司氏(研究開発グループ テクノロジーイノベーション統括本部 システムイノベーションセンタ センタ長)によれば、日立は20年程前に指静脈認技術の開発に着手し、2000年には実用化に成功した。入退出管理や金融機関での本人確認用などで多数採用されてきた。

登壇した池田尚司氏(右端) 日経エレクトロニクスが撮影。スクリーンは日立のスライド。
登壇した池田尚司氏(右端) 日経エレクトロニクスが撮影。スクリーンは日立のスライド。
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 こうして採用された指静脈認では、専用の撮影装置に指を入れて赤外線を照射して得た赤外線透過画像と、事前に登録しておいた画像とを照合して認証していた。最近はスマホを使った銀行取引やショッピング、予約が増えており、安全で高精度な生体認証をスマホで行いたいというニーズが高まっており、今回の技術を開発した。

 スマホのカメラを使う指静脈認証技術を開発するに当たっての課題は主に2つあった。1つは可視光の反射画像から静脈パターンを安定して抽出すること。もう1つはカメラにかざされた複数の指の位置を正確に検出して高精度に認証することである。

スマホのカメラを使う指静脈認証の課題 日立のスライド。
スマホのカメラを使う指静脈認証の課題 日立のスライド。
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