3社による相互補完、垂直統合戦略へ

 EnergyTrendのRhea Tsaoアナリストは、「これら3社は、ターゲットとしている市場や製品のポートフォリオが互いに異なる。NSP社は高効率の製品に集中し、単結晶シリコンのPERC(Passivated Emitter and Rear Cell:裏面不動態型セル)やHJT(ヘテロ接合)プロセスへの移行を進めている。ジンテック社は子会社に太陽電池ウェハーのサプライヤーであるUtech Solar社とパネルメーカーのGintung社の2社を持っており、垂直統合型の太陽光発電メーカーを目指すうえで戦略的に重要だ。ソーラーテック社は多結晶シリコンのPERC技術で活発に事業を展開している。今回の合併によって、相互に補完しあえることが、3社にとって最も大きな利点となる」と説明している。

 太陽光パネルの生産能力に関しては、3社の合計は600MW。合併後、新会社は垂直統合の取り組みの一環としてパネルの生産能力を3GWに引き上げる意向という。台湾の太陽光発電産業全体としても5GW以上の拡大になる。台湾は技術などの点では中国の太陽光パネル・メーカーより優れている面もあるものの、生産能力に関しては中国企業に大きく水をあけられている。それでも、合併による製造規模拡大で、新会社ではコスト削減や、原料や製造機器の調達におけるサプライヤーとの交渉などでメリットを期待できるとみられる。

 今回の合併は、国際的な競争激化で収益性の低下に悩む台湾の太陽光発電産業において先行事例になると期待されており、国際的な業界再編の契機となる可能性がある。

 足元の台湾市場では、蔡英文・民進党政権が太陽光などの再エネ導入を加速しつつある(関連記事)。しかし、2017年の上半期に導入された太陽光の設備容量は130MWに留まったという。

 台湾政府が策定した2016~2018年の2年間の目標は1.52GWだが、最初の1年間で設置された容量は394MWと目標達成には程遠い状況となっている。蔡英文政権にとっては、国内市場でさらなる需要を喚起する必要に迫られている。