米テスラ(Tesla)は16日、ニューヨーク州バッファローで行う太陽電池セル(発電素子)と太陽光パネルの量産に関し、パナソニックとの提携を検討していると発表した。

 今回の合意の下、テスラは「Powerwall」や「Powerpack」といった定置型蓄電池製品と、同社が買収により傘下に収める予定のソーラーシティ(SolarCity)社の太陽光発電システムを統合し、住宅用、産業用、系統用の市場セグメントで総合的なエネルギー・ソリューションを提供するとしている(関連記事1)。

 テスラの発表によると、パナソニックがバッファローで太陽電池と太陽光パネルの製造を開始する時期としては2017年を予定している。テスラはそれらの太陽電池セルをパナソニックから長期にわたって購入する義務を負うという。

 両社は、電気自動車(EV)や定置型蓄電池向けにネバダ州で建設中の工場「Gigafactory」で製造するLiイオン電池の製造でも提携を発表している。今回の合意に基づく事業提携が実現すれば、太陽電池セルや太陽光パネルでも両社が協業することになる。

 テスラは太陽光パネル事業におけるパナソニックとの提携を進める前提条件として、「同社によるソーラーシティ社の買収を株主が承認すること」と明記している。ソーラーシティ社の買収を疑問視する株主も多く、パナソニックとの提携を前面に打ち出すことで、そういった批判を封じ込める狙いもあるとみられる(関連記事2)。

 ソーラーシティ社は2014年6月に太陽光パネルの開発や製造を行うベンチャー企業Silevo社を2億ドルで買収している。

 NY州バッファローに太陽電池工場を建設する計画ではSilevo社による太陽電池技術の採用が前提だったが、今回のパナソニックとの協業により、NY州における太陽電池の製造についても、軌道修正する可能性もある。

 ただ、NY州は、ソーラーシティ社の工場誘致にあたって補助金などの優遇措置を提供している。テスラ株主の懸念や反対も含め、今後も曲折がありそうだ。

 今回のテスラによる発表では、パナソニック・エコソリューションズ社の岡山秀次副社長が「両社の関係がさらに発展することを期待する」とのコメントを寄せている。パナソニックは17日時点で、テスラとの提携に関し公式に発表していない。