国際的な環境系非営利団体(NPO)であるCDPは10月12日、内部的に炭素価格(カーボンプライシング)を事業計画に導入、または導入計画のある多国籍企業の数が、2014年の150社から今年は1389社に増加したと発表した。過去4年で8倍以上と急速に増加しており、その中には「Fortune Global 500」の企業も年商合計で7兆ドルとなる100社以上が含まれるとしている。

 CDPはグローバルな企業・団体の機関投資家を代表する国際NPOであり、その運用資産総額は100兆ドルという(関連記事)。 2000年に設立された「Carbon Disclosure Project(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)」が前身となった。

 企業による内部的な炭素価格の取り組みに関する調査結果の報告書を2013年に初めて公開しており、現在は電力・エネルギー分野の企業の時価総額の75%以上の企業が参加、英ナショナルグリッド(National Grid)社、仏EDF社、米Exelon社やPG&E社、独エーオン(E.ON)社などの著名企業も参加企業のリストに含まれている。

 材料や電気通信などの産業分野でも、半分以上の企業が内部的な炭素価格を早ければ2019年にも導入するという。

 地域的には、アジア太平洋の取り組みをけん引する中国が際立っており、内部的炭素価格を導入する企業の数が2015年の54社から102社へとほぼ倍増し、China Vanke(万科)社、Shanghai Electric(上海電気)社、China Mobile(中国移動)社などの有力企業も参加している。

 中国では世界最大となる排出量取引制度を2017年末までに導入する計画であり、これによって世界の温室効果ガス排出量の75%までをカーボンプライシングでカバー可能となることが期待されるという。

 トランプ政権により環境関連規制の先行きが不透明な米国でも、カーボンプライシングを内部的に導入する企業数は2014年の29社から現在96社へと増加の傾向にあり、142社が2019年までに導入を計画中としている。

 CDPは、排出枠を割り当てて取引する制度(キャップ・アンド・トレード)を2030年まで延長することを圧倒的多数で可決したカリフォルニア州を自治体における先進事例として挙げた。

 他の地域では、オンタリオ州が15億ドルをクリーン関連分野に投資するカナダ、グリーン成長戦略や排出量取引市場を将来導入すると公約しているチリ、コロンビア、メキシコ、ペルーなど中米諸国、アジア初の排出量取引制度を既に運用する韓国などをカーボンプライシングの先進事例として紹介している。