新エネルギー小委員会・系統ワーキンググループの様子
新エネルギー小委員会・系統ワーキンググループの様子
(出所:日経BP)
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経産省が示した北海道における風力発電の接続可能量の拡大に向けた当面の対策案
経産省が示した北海道における風力発電の接続可能量の拡大に向けた当面の対策案
(出所:経産省)
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北海道における風力発電の接続可能量
北海道における風力発電の接続可能量
(出所:北海道電力)
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長周期の変動に蓄電池を使って対応することを求めている
長周期の変動に蓄電池を使って対応することを求めている
(出所:北海道電力)
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風力発電に有利な冬季は、火力発電設備を4台以上使って調整することを想定
風力発電に有利な冬季は、火力発電設備を4台以上使って調整することを想定
(出所:北海道電力)
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経産省が示した東北北部における再エネ発電の接続可能量の拡大に向けた当面の対策案
経産省が示した東北北部における再エネ発電の接続可能量の拡大に向けた当面の対策案
(出所:経産省)
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「電源制御」の活用により当面の導入量を拡大する案も
「電源制御」の活用により当面の導入量を拡大する案も
(出所:東北電力)
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 経済産業省は10月14日、新エネルギー小委員会・系統ワーキンググループ(第8回)を開催し、再生可能エネルギーの接続可能量の算定方法や拡大に向けた対策について議論した。

 次年度の接続可能量の算定方法については、2016年度の算定時と同じ前提を採用する案が示された。ただし、出力制御の見通しについては、指定電気事業者制度の対象となった無制限・無補償の出力制御が連系条件となる再エネ発電所では、金融機関からの資金調達が困難になったとの指摘が多かったという。

 これを踏まえ、今後は出力制御の見通しを策定する際、実際の導入実績などに即したものにするとした。具体的には、「8760時間の実績ベース方式」による見通しのみを採用し、従来は併記していた「2σ(シグマ)方式」の見通しは採用しない。また、実際の導入実績などに即した今後の導入増加量や、過去3年の年度ごとに見通しを算定し、その過去3年間の平均値を採用する。

 また、再エネの接続可能量の拡大に向けた当面の対策については、経産省、北海道電力、東北電力がそれぞれ案を示した。

 北海道電力では、出力20kW以上の風力発電設備に関して、出力変動の緩和への対策として二つの技術要件を2016年4月に発表した。風力発電事業者は、発電所ごとに蓄電池を設置して充放電を制御し、風力発電との合成出力で、要件を満たす必要がある。発電事業者にとっては、初期投資が膨らむ課題がある。

 こうした状況に対して、経産省は、五つの対策案を示した。

 一つ目は、系統への大型蓄電池システムの導入。すでに大型蓄電(レドックスフロー蓄電池:容量1.5万kW×4h)を実証導入した南早来変電所で得た知見を生かすべきとしている。再エネ発電所ごとに蓄電池を設置するのに比べ、コスト効率に優れる可能性が高いため、実証試験の最終的な評価を待つことなく、早急に検討すべきとした。

 二つ目は、天然ガス火力発電所を使った調整力の増大。2019年2月に運転開始が予定されている石狩湾新港発電所・1号機を活用し、調整力を増大すべきとした。

 三つ目は、北海道電力と東京電力が共同で取り組んでいる風力発電の導入拡大に向けた実証試験の空き枠の再募集。合計出力20万kW規模の実証試験で、一部の風力発電事業者が辞退したことにより、出力約6.3万kW分が空き枠となっている。これを再募集すべきとした。

 四つ目は、再エネ発電事業者が必要となる蓄電池容量の低減。調整力として使う火力発電設備の台数を時期によって変える運用が有望という。例えば、調整力として使う火力発電設備を3台の時と、4台以上使う時にわけ、4台以上使う時には再エネ発電所に長周期変動対策を求めない、といった運用を想定している。

 五つ目は、揚水発電と地域間連系線を最大限に活用すること。北海道電力では、揚水や本州と北海道との間の北本連系線を最大限に活用するとしているものの、その検証が必要と指摘した。

 一方、北海道電力も、三つの策を追加的に検討するとした。

 第1は、調整用の火力発電機の台数の変化と、再エネ発電所への蓄電池の併設を組み合わせた対策。第2は、系統への蓄電池の導入。経産省が南早来変電所における実証試験の結果を待たずに検討することを要求しているのに対して、北海道電力では、あくまで実証試験の成果を踏まえ、活用の方針を決めるとしている。第3は、風力発電の導入拡大に向けた実証試験の空き枠の活用で、経産省が示した三つ目の案と同じ。

 また、東北電力では、東北北部(青森、岩手、秋田の3県と宮城県北部)の系統の空き容量がゼロになり、新たな再エネの連系申し込みに対応できない状況となっている。これに対して、経産省と東北電力がそれぞれ改善に向けた3つの案を示した。

 北海道や東北におけるこれらの対策に関しては、次回の会合で時間軸、コスト負担を含めた結論が示される見通し。