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HOMEエネルギーメガソーラー > 北大、常温で動作する水素分離膜を開発、水素社会に道

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北大、常温で動作する水素分離膜を開発、水素社会に道

  • 工藤宗介=技術ライター
  • 2017/10/13 20:06
  • 1/1ページ
水素を分離するプロセスのイメージ
(a)水素透過号筋膜による水素分離の様子。H2分子は金属表面に吸着し、原子状のHに乖離して合金膜を通り抜ける。(b)プロトン(H)-電子混合伝導性セラミックス膜。H2分子は膜表面で吸着・乖離した後、Hと電子にイオン化してセラミックス中を透過する。(C)今回研究開発したヒドリド(H)-電子混合性セラミックス膜。H2分子は膜表面で吸着・乖離した後、膜から電子を受け取ってHとなりセラミックス中を透過する(出所:北海道大学)
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 北海道大学は9月26日、古くから知られるセラミックスである窒化チタン(TiN)のナノ微粒子膜が、常温で優れた水素透過性を持つことを発見したと発表した。

 現在までにTiN微粒子からなる緻密膜を厚さ200nmまで薄くすることに成功し、厚さ5μmの銀パラジウム合金膜よりも室温で50倍高い水素透過速度を実現した。燃料電池用高純度水素をより簡単に供給できるようになると期待される。

 プロセスガスから水素を分離するには、ニッケルやチタン、ニオブ、バナジウムなどの水素を吸収する合金による膜を用いることで、簡単かつ効率よく水素のみを分離できる。しかし、水素がこれらの合金を透過すると金属原子間の結合を切断し(水素脆化)、合金が腐食するため長時間使用できない。唯一、パラジウム合金は深刻な水素脆化が起きないが、希少金属のため大規模な応用や実用化は困難だった。

 近年、水素透過合金に代わる材料としてプロトン(H)と電子の両方が伝導することで水素を輸送する金属酸化が注目されている。しかし、セラミックス中のHはO2-イオンと非常に強く結び付いているため、自由に移動できるようにするには高温にする必要がある。研究グループは、この束縛エネルギーが小さく、より低い温度で水素イオンが自由に移動できる材料(プロトン伝導体)として、TiNに着目した。

 今回、TiN微粒子が水素に触れると微粒子表面のTi3+イオンと水素原子との間で反応が起こり、TiNから吸着水素原子に電子が移動することでTi3+-ヒドリドイオン(H)表面基が形成されることを発見した。また、Hイオンは微粒子表面を1つのTi3+から隣のTi3+へ簡単に移動でき、この移動に必要なエネルギーは10kJ/mol程度と非常に小さいことを見出した。この値は、室温でも十分Hイオンが移動できることを示す。

 このようなTiN微粒子が緻密に凝集した膜では、Hイオンが各微粒子の表面をTi3+からTi3+へジャンプしながら膜内部へ移動し、反対の面から水素として放出されるヒドリド-電子混合伝導によって発現する。

 今後、再生可能エネルギー電気による水の電気分解で生成された水素と酸素の混合ガスから水素のみを常温分離し、さらには家庭用や車載用の燃料電池への高純度水素の分離供給が可能になると期待される。

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