九州電力は、同社のホームページに10月13日の土曜と14日の日曜日に、一部の再生可能エネルギー設備に関し、「出力制御の可能性あり」との見通しを11日午後5時に公表した。仮に実施された場合、九州本土に稼働する約800万kWの太陽光設備のうち、1回当たり数十万kW分が対象になると見られる。

 同社では、3日先までの出力制御(出力抑制)の可能性を公開する「再生可能エネルギー出力制御見通し」をホームページに掲載することにしている。今回、このページに「可能性あり」との表示を出したうえで、補足のリリースを出し、「両日は九州一円が晴れて太陽光の出力が増える一方、気温が低めに推移することで電力需要が減るため、昼間に再生可能エネルギーの出力制御の可能性がある」との背景説明を公表した。

 今回の3日先までの「出力制御見通し」は、九電が独自に公表しているもので、他の電力会社も含めた共通の出力制御の告知ルールとしては、前日の16~17時に旧ルール事業者には「出力制御の指示」、九電が遠隔で制御できる指定ルール事業者には「制御予告」を連絡することになっている。

 同社は、今後の天気予報の変化などによって需給見通しが変わった場合、3日前に「可能性あり」と公表しても実際には出力制御に至らない場合や、天候の急変により3日前に「可能性あり」を出さずに前日に制御指示や予告を出すこともあり得るとしている。

 九州エリアでは10月1日に九電の要請により、電力広域的運営推進機関(以下、広域機関)が、関係する電力会社に斡旋し、九州内の太陽光発電所で発電した電力を中国以東のエリアへ送電するための「長周期広域周波数調整」を実施した経緯がある。

 長周期広域周波数調整は、実施日の前日午後、再エネに対して出力制御の指示・連絡を行う前に広域機関に斡旋を依頼する。10月1日の広域調整では、関門連系線から中国電力エリアに送電できる最大容量が112.5万kWも確保できたことで、再エネへの出力制御が回避されたと考えられる。ただ、広域調整による最大容量は、電気の受入れ側の需給状況によって大きく左右されるため、常に100万kW規模を確保できるわけではないという。

 九電によると、仮に10月1日のように100万kW規模を関門連系線で調整できたとしても、気温の低下により空調の稼働率が下がり、需要がさらに落ち込んだ場合、太陽光に対する出力制御に踏み切らざるを得ない可能性もあるとしている。

優先給電ルールによる需給調整の順番
優先給電ルールによる需給調整の順番
(出所:九州電力)
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