国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は10月6日、定置型蓄電池のコストが2030年までに最大66%低下するとの見通しを発表した。下落する蓄電池の価格は、今後設置される定置型蓄電池の設備容量を少なくとも17倍まで成長させ、多くの新しい事業機会や経済の活性化に繋がる可能性があるとしている(図1)。

図1●再エネの導入比率を倍増した場合、2030年までに設置される定置型蓄電池の設備容量は17倍(左グラフの右端)~38倍(右グラフの右端)に増加しうるとの見通しを示した
図1●再エネの導入比率を倍増した場合、2030年までに設置される定置型蓄電池の設備容量は17倍(左グラフの右端)~38倍(右グラフの右端)に増加しうるとの見通しを示した
(出所:IRENA)
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 10月4日~5日に東京で開催された「Innovation for Cool Earth Forum(ICEF)」の会合で同機関が発表した調査報告書「蓄電池と再エネ:2030年までのコストと市場」によるもので、主要国の電力システムにおける再生可能エネルギーの比率が2倍になれば、蓄電池の設備容量のグローバル合計は最大3倍まで成長するという。

 IRENAのアドナン・アミン事務総長は、「蓄電池技術が向上し価格が下落すると、大規模な産業用と小規模の両方の用途で分散電源が急成長し、再エネの導入が加速する」と述べている。

 同報告書では、蓄電池でも特に定置型の用途に焦点を当てている。現時点では、全世界で設置されている蓄電容量の大半(96%)を揚水発電が占めているものの、規模の経済や技術革新によってLiイオン蓄電池やフロー電池といった代替蓄電技術の開発や普及が急速に進むとしている。

 また、蓄電池は、運輸交通分野などのセグメントにおいても低炭素化をけん引するとした。

 代表例として、電気自動車(EV)の蓄電池の性能向上が著しいと指摘している。2010年から2016年末までの間に、運輸交通用途でのLiイオン電池のコストは最大で73%下落したとする。