神戸製鋼所は2017年10月8日、同社のアルミ・銅事業部門が検査証明書のデータを書き換え、顧客の求める仕様に“適合していない製品”を、“適合している製品”として出荷していたと発表した。出荷先は航空機関連メーカーや自動車メーカー、電子機器メーカーなど約200社。同社はデータの書き換えは組織ぐるみであり、約10年前から行われていたことを認めている。

 検査証明書のデータ書き換えが明らかになったのは、真岡製造所(栃木県真岡市)と長府製造所(山口県下関市)、大安工場(三重県いなべ市)、子会社のコベルコマテリアル銅管秦野工場(神奈川県秦野市)で、2016年9月1日~2017年8月31日の1年間に出荷した製品(図1)。内訳はAl合金製品(板材、押出材)が約1万9300トン、銅製品(板条、管)が約 2200トン、Al合金鋳鍛造品が約1万9400個である。

神戸製鋼所の真岡製造所
図1 神戸製鋼所の真岡製造所
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 同社は現在、出荷先のメーカーに事実関係について説明し、不適合製品を使用した製品の品質への影響の検証を進めている。また、同社社長兼会長の川崎博也氏を委員長とする品質問題調査委員会を設置し、データが書き換えられた背景や原因について調査を進める。

 同社副社長の梅原尚人氏は10月8日の会見で、「実際にデータの書き換えに手を下したり、書き換えを知りながら黙認していたりした社員は、管理職を含めて過去1年間で数十人に上る」と説明。「組織ぐるみか」との質問に「はい」と答えた。データ書き換えの背景については、「納期を守り、生産目標を達成しなくてはいけないというプレッシャーの中で続けてきた」と話した。