発電コストの最低記録更新が相次ぎ、ガスや石炭と同等以下に

 2016年に導入された太陽光と風力のプロジェクトでは、入札で最低価格の記録更新が相次ぎ、3セント/kWhといった水準までコストの下落が進んだ。最低価格の記録更新は、インド、アラブ首長国連邦(UAE)、メキシコ、チリといった様々な地域で発表されている(関連記事1)(関連記事2)(関連記事3)。

 これらの太陽光や風力のプロジェクトで締結された電力購入契約(PPA)の発電コストは、新設されるガス火力や石炭火力の発電コストと同等かそれ以下になりつつある。

 今後5年間にわたる再エネの発電設備における容量拡大では、世界全体の40%となる360GWの容量を増加させる中国が首位の座を維持する。中国における再エネの成長は、主に大気汚染への懸念と、「第13次5カ年計画」で策定された2020年までの容量目標がけん引している。実際には中国は既に太陽光では2020年の目標を3年も前倒しで達成しており、風力でも2019年には目標に到達するとみられる。

 レポートでは電気自動車(EV)による再エネ電力の消費や、アフリカやアジアにおけるオフグリッド太陽光発電の導入などについても詳細に分析している。

 アジア・アフリカ地域におけるオフグリッドの容量は、現在の3倍以上まで成長し2022年に3000MW(3GW)以上を見込む。これにより、同地域の新興国における未電化地域の約7000万人が基本的な電力サービスの恩恵を受けることになるとしている。

 EVによる電力の消費は、自動車に加えて2輪や3輪の小型車両やバスなども含めると、今後5年間で倍増すると見込む。その内で再エネ由来の電力が占める割合は、現在の26%から2022年に約30%まで増加すると試算した。

 EVは、運輸部門における再エネ消費で増加分の80%を占めるバイオ燃料を補う役割を担うという。しかし、陸上運輸のエネルギー消費全体に再エネが占める割合は限定的な範囲に留まり、2016年の4%から2022年の約5%へとわずかしか増加しないという。