ドイツのベンチャー企業で定置型蓄電池システムの開発や製造を手がけるsonnen社は10月2日、台風で被災し全島が停電となった米自治領プエルトリコで電力供給を支援するため、「プエルトリコ・エネルギー安全保障イニシアチブ(PRESI)」を発表した。

 同社の定置型蓄電池システムは現在、世界の2万1000カ所以上で稼働しており、2016年以降にプエルトリコでも稼働中のシステムがある(関連記事1)(関連記事2)。

 9月中旬のハリケーン「マリア(Maria)」による被災後、同社の経営陣は現地の提携パートナーであるPura Energia社と連絡を取り合っており、顧客の安否や非常用電源が使えるかといったことを確認しているという。

プエルトリコに接近中のハリケーン「マリア」(出所:NOAA/NASA)
プエルトリコに接近中のハリケーン「マリア」(出所:NOAA/NASA)
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 それでも、被害が甚大で電力や通信手段もない状態で安定的に連絡を取ることは非常に困難を極めており、sonnen社はPura社と協力して「緊急時支援サイト」の場所を決め、安定したマイクログリッドを提供することを次に行うべきアクションとしている。

 Pura社が蓄電池システムと太陽光パネルを設置する費用への補助金などを含めた復興計画が策定され次第、sonnen社は技術者や作業員などからなる支援チームをプエルトリコに派遣し、システム設計から最終的な設置までのマイクログリッド導入に必要な一連の業務を現地で主導するという。

 sonnen社の米国事業部門を率いるBlake Richetta上級副社長は、「現在市販されている蓄電池システムの多くは、オフグリッドのマイクログリッド初期設定で電力網への接続や、他の部品が追加で必要となる。sonnenの場合はいずれも不要なため、プエルトリコを支援するのに最適」と述べている。

 sonnenに入社する前にRichetta氏は、テスラ社で「Powerwall」製品の北米における営業部門を率いていた。