中国のJA Solar Holdings(JAソーラー)社は28日、欧州連合(EU)が中国製の太陽電池や太陽光パネルに対して策定している価格取り決め協定から脱退すると発表した。

 同協定の下では、太陽電池や太陽光パネルをEU域内で販売する中国のメーカーはEUの定める最低輸入価格(MIP)を上回る価格で販売しなければならない。

 同協定を受け入れない企業は、反ダンピング税と反補助金税を支払う必要がある。JAソーラー社の場合、それぞれの税率は51.5%および5.0%だった。

 同社は2013年12月にEUがこの政策を施行して以来、協定に加盟しEUの価格取り決め協定に従って太陽電池や太陽光パネルを販売してきたという。

 しかし、現時点ではEUの価格取り決め協定がもはや太陽光パネルの現在の市場環境を正確に反映しておらず、同協定から脱退しない限りEU域内における同社の競争力を維持できないとの結論に至ったとしている。

 JAソーラー社のBaofang Jin会長兼最高経営責任者(CEO)は、「MIPは過去18カ月間変わらないままで、最近の価格動向を反映していない。残念ながら現在のMIPは事業戦略を執行するうえでマイナスに働き、欧州での成長を妨げる。したがって、協定から脱退することを決断した」と述べている。

 欧州の太陽光パネルに関する価格取り決め協定に関しては、昨年12月にトリナソーラー、今年9月にジンコソーラーが既に脱退している。また、協定に非加盟の代理店を通して太陽光パネルを販売する中国企業も後を絶たないなど、同協定の実効性が低下しつつある(関連記事)。

 今回のJAソーラーの脱退により、中国の大手3社が同協定から脱退したことになり、EU域内の太陽光パネル・メーカーを保護する同協定の形骸化が進んでいる。

 事業の多国籍化を進め競争力を維持する中国の太陽光パネル大手に対し、EU当局がどのように対応するのかが今後の焦点となりそうだ。