石垣島では充電スタンドの半分が太陽光併設

国内初の「再エネ電力によるバッテリー交換型のバイクシェアリング」と強調
国内初の「再エネ電力によるバッテリー交換型のバイクシェアリング」と強調
(撮影:日経BP)
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石垣島に設置予定の4カ所のスタンドのうち、2カ所は太陽光発電システムを併設
石垣島に設置予定の4カ所のスタンドのうち、2カ所は太陽光発電システムを併設
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 日本では、まず沖縄県の石垣島の実証事業において、展開していく。

 住友商事が石垣市と提携し、石垣市が目指している持続可能な発展を目指した島づくりの支援の一環として、2017年度内に、石垣市内にGogoro社の交換型蓄電池を使った電動スクーターを導入し、シェアリングサービスを開始していく。

 交換型バッテリーを使った電動スクーターによるシェアリングサービスは、国内初としている。

 石垣島は、面積が229km2、人口が約5万人に対して、国内外から来訪する観光客が2012年の約70万人から、2015年には約125万人に急増している。

 観光客の急増は、島にとって観光関連産業の活性化という利点がある一方、レンタカーによるCO2排出量の増加や、駐車場の不足といった課題が生じている。島内に所在する人数が増えるので、台風による被災時を想定した非常用電源の確保の重要性も増している。

 交換型蓄電池を使った電動スクーターによるシェアリングサービスは、こうした課題を解消する1つの手段になり得るとしている。レンタカーによるCO2の排出量の増加を抑え、かつ、駐車場をそれほど増やさずに済み、充電スタンドに併設した太陽光発電システムが非常用電源となる。

 今回の実証では、充電スタンドは、島内の4カ所に設置する。満充電での連続走行距離・約100kmに対して、島内の平均20km内に1カ所ずつ、設置する。

 このうち2カ所は、太陽光発電システムを併設し、日中は太陽光発電電力で蓄電池を充電する。

 この太陽光発電システムは、災害時には、防災拠点への電力供給に活用する。

 太陽光発電システムの導入は、石垣市が担当する。内閣府の沖縄離島活性化推進事業補助金を活用して設置する。

 これまで、Gogoro社の電動スクーターは、台湾や欧州の都市を中心に導入されてきた。日本では、石垣島という離島からの導入となる。

 この点について、石垣島という、台湾に近く、台湾からの観光客が多い場所では、台湾でなじみのある電動スクーターが、観光客を中心に受け入れられやすいこと、太陽光で充電する電動スクーターに対し石垣市から強い要望があったとしている。

 台湾や欧州では、交換型蓄電池への充電は、ほぼ系統電力によるものとなっている。太陽光発電電力による充電を主軸に据える構成は、日本が先進事例となる。

 住友商事によると、今後、日本でも大都市で展開していく構想がある。その際にも、太陽光発電などの再生可能エネルギー電力による充電をセットで考えた姿になるだろうとする。

 バッテリー交換型電動車両では、かつて米Better Place(ベタープレイス)が独自開発したEVを使い、世界の複数都市で実証運用し、日本でも2009~2010年に実証モデル事業を実施した。ただ、ベタープレイスの事業モデルは受け入れられず、その後、解散に追い込まれた経緯がある。